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白いアリスは彷徨う

第18章 白雪










外では雪が降っている。










怜はただぼーっと空を眺めていた。
御柱タワーは空に近い。







怜のベットにはまだ眠っている十束多々良。



目を覚まさせることは可能だ。だがそうしてしまえば、彼がまた撃った本人に狙われそうで、勇気が出なかった。












いつから私はこんなに臆病になってしまったのだろう。



そう思って、久々に自宅に戻る事にした。





もう5、6歳の姿ではない。

19歳の姿で生活している怜。


整った顔立ちのせいで街を歩けば目立つのだが本人はそれに気付かず街を歩く。





ひこに会っていない。
寂しいなぁ。



なんてふと思って耳のイヤリングに触れる。










パァンッと銃声が聞こえて、思わず顔を上げる。



スクリーンには銃を持った少年。





「俺は無色の王!・・・いい夜かって?あぁ、いい夜だ。」





この場所は間違いない。
十束多々良の撃たれた場所。
銃声が2回鳴った。きっとこれは、十束多々良のカメラに残っていたデータ。
ならばこれを流せるのは誰だ?






動画の後に吠舞羅への情報提供を求める広告。





随分と表に出てきたな。吠舞羅。







きっと吠舞羅の中では十束多々良は死んでしまっている。死体が見つかっていないから希望はあると思いつつ、出血量から生きていないと言うことはあの頭の回る草薙出雲ならわかる。





私は、吠舞羅に顔を出せなくなってしまったと思った。





私が彼らに十束多々良は生きているともっと早くに言っていたら、状況は変わったのかもしれない。だが、彼等はきっと止まらないだろう。結果同じ事になっていたかもしれない。




でも、それでも仲間の死を受け入れるのはきっと辛い。なんでって、なると思う。私はそんな彼らを見て見ぬふりを今までも、これからもするのだろう。







もう、戻れないのだ。






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