第4章 スキル
猿比古「怜。」
怜「?ひこ、どうしたの?」
猿比古「もっと、教えて。」
怜「・・・あのね、ひこ。」
怜はくるりと猿比古の方を向き、座り直す。
怜「パソコンはね、使えたら便利だよ。でもね、それ以上に、ひこが大変になるの。ハッキングだけでも凄いから・・・。」
悲しげに怜にそう言われてしまっては、教えてもらうわけにもいかないだろうと思う猿比古。
怜「・・・ひこが、辛くなるの、やだ。」
猿比古「・・・わかった。やめる。・・・けど、ハッキングは、教えて。」
怜「・・・いいよ、ハッキングなら。」
ニコッと、目に涙を溜めたまま笑う怜。
怜、泣かせたくない。
怜と、ずっと一緒にいたい。
そんな思いが、猿比古の中にあった。