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終わりのセラフ

第10章 記憶



幼い私でも、優を欲しがる大人の事情は分かる。
大切な友達であり、大切な家族を簡単に渡すわけにはいかない。
たとえ、私が傷付くだけで気がすむならばそれでいいと思っていた。



私が公園のベンチにいるところをミカは見つけた。

服は破けていないものの、抵抗したためか服は所々伸びていて肩が見える。

そんな私をミカは見つけてくれた。

どこかに出かけた帰りだろうか。


私の姿を見て驚いた顔をしたが、何も聞かず私のことを抱きしめてくれた。心地よかった。

「もう怖くないよ。大丈夫だよ」

夜、怖い夢を見て寝れなくなった子どもを落ち着かせるように、ミカは私に何度も言い聞かせた。

安心したのか涙が止まらなかった。

「みやびが悲しむと僕も悲しい」

ミカはそう言い続けた。


私は、初めてそういう感情を知った。
今まで親に心配されたこともなかった。
だから、悲しむのだって自分だけだと思っていた。

「ごめんなさい。私、怖かった。ミカに会いたかった」

心配されないように、怖くなかったと嘘をつくよりも怖かったと素直に言った方がいいことなんてもう分かっていた。
たまには、心配かけて、悲しみを共有して、頼ってもいいのかなと、私の考えが変わった日だった。
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