第3章 第一章
自分でも恥ずかしいレベルの反応を見せて、声をかけた主は怯えてしまった。
それもそうだ。あれは、俺も引いた。
「あ、ごめん。急に声かけられたからびっくりして…」
やぁー、引かれてるよな。絶対。
「フフッ。おもしろい」
意外すぎる答えにまたも間抜けた声を出しそうになった。
「おもしろいね」
心外だ。普段はあんな声は出さないし、女子からちやほやされてる時はもっとイケメンになってるよ!
自分で言うのもなんだけど!
「面白いなんて、心外な」
正直に言ってやった。おそらく、音楽部のピアノが上手い神田さんだろうし、同級生だし。タメでいいと思う。
と、いろいろ考えいてると
「ごめん。いつも廊下で見る一条君とは違って、つい」
なるほど。そういうことか。お互いに学校じゃ有名だし普段見ることが多いからか。女子と接してる俺も見てるのか。
「まぁ、いいよ。俺も急にあんな声出してびっくりさせちゃっただろうし」
今回は俺にも否があるだろう。
それより、この子が声をかけてきたのはなぜだろう。
「なぁ、なんで俺に声なんてかけたんだ?」
すると
「あ、そうそう。あのね、これ」
そう言って差し出された手には、俺の探していた財布があった。
「あ、それ」
「あ、やっぱり、一条君のだったんだ。」
そうだけど、でも、どうして神田さんがもってるのか。
気になって聞いてみた
「どうして、神田さんが俺の財布を?」
神田さんは驚いた顔で
「私の名前知ってたんだ。ありがとう」
と言って
「私、図書委員でお昼休みに来てたんだけど、その時に忘れてあったし、お昼来てたの一条くんだけだったから」
神田さんって図書委員だったんだ。知らなかった。