My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
「…ノアの訓練だよ。その能力(ちから)があるから、私は此処に居られる。…それがないと、私は役立たずになってしまうから。だからその能力を使えるように訓練してるの」
なんとなく、わかってることだとは思うけど。
ユウの洞察力なら、私がどんな訓練を行っているか。
それでも問い掛けてきた姿は珍しくて、私も素直に吐き出せた。
「本当、マダラオはユウとは別の意味でスパルタだしトクサもテワクも嫌味ばっかりでキレドリもゴウシも私のこと其処らの虫みたいな目で見てくるけど。でも、まぁ、自分の為の訓練だと思えば、潔く受けるよ」
深々と溜息をついて、それこそ潔く愚痴を零す。
確かにスパルタで怪我も多いけど。
…時には心へし折られることもあるけど。
それでもなんとか、前は向いていられてるから。
そうまた笑って応えれば、今度はユウの眉間の皺は増えることはなかった。
痛みには慣れてるけど、だからって痛いことが平気な訳じゃない。
それはファインダーとして生きていた時も同じだ。
怪我を負う時は身構えるし、酷い時は情けなくも悲鳴だって出ることもあるし、出来れば痛みとは無縁でいたい。
それと同じなだけだ。
そしてそれは私だけじゃなくて、きっと教団では皆にとっても同じこと。
…痛いのが好きなドMさんなら話は別だけど。
兎にも角にも、人として当たり前に感じることだ。
エクソシストだけじゃなく、バズ達ファインダーも、警備班も、時には科学班や管理班だって。
私だけが特別な訳じゃない。
「だから平気」
「………」
それにこうして、今の私には傍にいて支えてくれる人がいるから。
それで充分。
真っ直ぐにユウを見つめて言えば、じっと黒い二つの目に見返される。
けれど反論は返ってこなかった。
沈黙を貫いた後ゆっくりと溜息を零す姿は、渋々にも見えるけど納得してくれたみたいだ。
良かっ
「わかった。じゃ服脱げ」
たじゃなかったー!
「…うん?」
え、なんでわかったでそういう結論になるの。
どういう道順?
「脱げっつってんだよ」
「うん?」
「何ガキみたいな顔で首傾げてんだ。言葉の意味くらいわかんだろ。脱げ」
「意味ワカリマセン」
「あ?」
す、凄んだってわからないものはわかりません。
ガン飛ばさないで!