My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「…雪」
汗ばんだ項に唇で触れたまま、上擦った声で呼ぶ。
舐め取った汗粒の味も、神田の喉の乾きを促していく。
麻薬のようだ。
この皮膚の下を流れている、温かい血が欲しい。
鉄の味しかしないはずなのに、喉の奥底から欲するそれを、この舌で味わい尽くして飲み下したい。
食欲とも性欲とも取れる強い衝動が、雪の蜜壺を味わう程に快楽が増す程に、大きく膨らんでいく。
堪らなかった。
「っ…食っていいか」
堪らず零れた声は、真っ直ぐに欲を言葉に変えたもの。
「は、ン…っ…?何…?」
「お前のこと、食っていいか」
激しく攻め立てていた律動を弱め雪に耳を傾ける余裕を与えても、腰が止まることはなかった。
ゆるゆると優しい愛撫のように腰を揺らしながら問い掛ける。
背後から片手で捕らえるように抱きしめたまま、神田は細い項から肩へと唇を滑らせた。
滑らかな線を縁取る、首から肩にかけた柔らかい皮膚。
そこに齧り付きたくなる衝動を辛うじて抑えながらも、軽く歯を立てた。
「ん…っ」
カリ、と爪を立てられたような微かな刺激。
微かでもその行為で気付いたのだろう。
雪が驚いた金瞳に神田を映した。
しかしそれも一瞬だけ。
「っ…残さず、食べてよ…」
神田がハロウィンに生じて雪の体を欲した時と同じ。
欲の見える目で誘い、甘く濡れた声で促してくる。
彼女の瞬き一つが、伝う汗の雫一つが、吐息の音一つが。
神田の血を沸騰させるように、ドクリドクリと打ち鳴らしてゆく。
細く繋がっていた理性を引き千切るには充分だった。
「っ…!」
「あぅッ」
柔らかな首筋と肩の間に食らい付く。
深々と牙を立てれば、濃い血の匂いが鼻を突いた。
同時に咥内に充満する深い血の味。
(甘い)
そんなはずはないのに、そう感じる程に頭を揺さぶる感覚。
強く吸い上げれば、忽ちに喉が潤う。
広がる充足感。
「ぁ…ユ、ウ…」
弱々しく漏らす雪の声にも肌が戦慄き、神田の瞳は血に染まった。
息が荒くなる。
呼吸がし辛い。
それでも甘美な血を味わい続けたくて、雪の首元に噛み付いたまま放さない。
それは獲物を食らう獣のようだった。