第1章 序章
雨が窓を叩き付ける。
雨がやむことなく降り続ける天気だ。
私は友人のために『ある物』を造っている。あいつ等に見つかる前に、それを完成させなければならない。
なんとしてもこれを完成させなければ、世界、否、地球は滅んでしまうだろう。
そのことを知った友人は息子たちと戦っている。未来のある子供たちと……。
私は科学者で、友人も私と同じ科学者だ。今私たちはあいつ等に追われている。友人には仲間がいるから大丈夫なのだが、私は一人だ。見つからないよう、身を隠してはいるがいずれ此処のことを知られるだろう。
お前が、私の、友人の、地球の、最後の希望だ。
「……よし」
完成した。私は早速『それ』を起動させる。
『それ』はゆっくりと上半身を上げ、静かに瞼を開ける。起動が完了したのだ。
「おはよう」
声をかけると『それ』は私に顔を向ける。
「初め まして。あなたの お名前を 確認します」
『それ』はまじまじと私を見つめる。
「80、90……100。認識完了しました。長月 晶さんですね?」
「そうだ。君の名前は……長月 レオンだよ」