虹彩異色症の女神さんは2人の炎に愛されました【エース・サボ】
第3章 私は自由
「生きるべき者・・・」
何を・・・
何を言っているの?
『お父様・・・何を仰っているのですか?』
アリスは国王レオンの手を握った。
父親だ。
「すまぬ…アリス……」
『お父様・・・お父様ッ!!』
レオンはまだ短きアリスの髪を撫でた。
血まみれの掌で・・・
スローモーションのようにその手が落ちた。
『お父様っ!!!死なないでください!!!』
城には既に数百の死体が転がっている。
海賊からの奇襲。
そして国王であるレオンは愛娘アリスを庇い、撃たれて死んだ。
アリスの目から大量の涙が零れた。
_あははっ、ねェ・・・_
天からか・・・聞こえた透き通った声。
_力が欲しいかい?_
アリスは泣きながら静かに頷いた。
_いいだろう_
天の声はそれっきり聞こえなくなった。
ドクン…
なんだろうか。
何かが起きている。
『あ゛・・・』
一瞬だったが心臓に強い力が走った。
そして・・・
アリスの右目は赤く染まっていた。
部屋に侵入してきた海賊を睨みつける。
そして父の血で濡れた掌で青白い光を出して見せた。
海賊の左胸にも同じ光。
アリスは握った。
もがき苦しむ海賊達。
『・・・ふふふっ、何て面白の?』
絶望に満ちた笑みを浮かべて光を握り締めた。
海賊達は息絶えた。
その動かない海賊の体を踏みつけた。
火の上がった城下の街。
多分、生き残りはいない。
この王国で生き残ったのはアリスだけだった・・・。