第3章 跡部 景吾の姉(テニスの王子様)
あの告白騒動から1週間たった。
忍足は菜々子と出会ったらどうしようと思っていたが中等部と高等部なので、出会うことがなかった。
「そういえば、跡部」
部活終了後の更衣室で3年の宍戸 亮が何か思い出したかのように景吾に話しかけた。
「なんだ?」
「お前のお姉さん、サッカー部のやつに呼び出されていたぞ」
「サッカー部のどいつや?」
「あー確か、名前忘れちまったけど……女子から一番人気あるやつだよ」
宍戸がそう言った瞬間、忍足は更衣室を飛び出した。
嫌な予感がする。
走りながら忍足はそう思った。
「待てっ!
忍足っ!!」
忍足の後ろから景吾が走ってきた。
「宍戸が2人を見かけたのは中等部の体育館裏らしい!
そこに行くぞ!」
「あぁ!」
景吾と忍足は中等部、体育館を目指して走った。
「ひいっ!」
突然聞こえた悲鳴に2人は顔を見合わせて慌てて声がした方へ行った。
「すみませんでしたっ。
ゆっ許してください」
周りには数人の男子生徒が倒れて、菜々子が例のサッカー部の男子に詰め寄っていた。
「これに懲りたたらもう、こんなバカなことをしないことね」
そう言って菜々子は振り返った。
「あら?
景吾じゃない。
どうしたの?」
「いや、姉貴が呼び出されたって聞いてよ」
「大丈夫よ。
これくらい」
と、菜々子と景吾が話しているときだった。
「俺をこけにしやがってっ!!」
男が背後から菜々子に殴りかかってきた。
「危ないっ!!!」
ドゴッ
菜々子をとっさに庇い、男に殴られる忍足。
「てめぇ、姉貴を襲おうとした挙げ句うちの部員を殴ったことを覚えておけよ」
景吾が男を睨むと男は悲鳴をあげて、逃げて行った。