第3章 跡部 景吾の姉(テニスの王子様)
「自分、氷の女王かなんか知らんけどな、勇気を出して頑張って告白した相手に対して今の言い方はないわ」
忍足はそう言って菜々子を睨んだ。
「…………じゃあ、逆に聞かせてもらえるかしら。
勇気を出して頑張って告白したと言うけど、この男が本当に私を好きだと思ってるの?」
「好きやなかったら告白せぇへんやろ」
自分の質問に対する忍足の返事に菜々子は声をあげて笑った。
「この男は違うわ。
付き合う女をファッションやアクセサリー感覚で選んでるのよ。
違うかしら?」
「そんなっ!
俺は純粋に先輩のことがっ!」
「なら、何故、他校に彼女がいるのに私に告白してきたのかしら?」
「「えっ?」」
菜々子の言葉に驚く忍足とサッカー部の男。
「知らないとでも思って?
なんならその彼女の学校名と名前をいいましょうか?
………いや、彼女達と言ったほうがいいかしら?
校内放送で」
みるみるうちに顔を青ざめるサッカー部の男。
「しっ失礼しましたっ!!」
そう言って男は逃げた。
そして、その場には忍足と菜々子が取り残され、なんとも気まずい空気が流れる。
「………ねぇ」
「はいぃ!!」
ふいに菜々子から声をかけられて驚く忍足。
「部活、そろそろはじまるんじゃないかしら?
行かなくていいの?」
菜々子に言われて時計を見るとあと5分で部活がはじまる時間だった。
「アカン。
遅刻するわっ!!」
忍足は走り出そうとして止まった。
「あぁー………その、よく知らんで首を突っ込んですんませんでした」
「別に気にしてないわ。
早く部活に行きなさい。
景吾から怒られる前に」
忍足は菜々子に頭を軽くさげるとテニス部へと走り出した。