第2章 xxx 01.研修
「つーわけで、改めてよろしくね」
スタッフルームを出た先。
ずらりと並んだ部屋のうち、一番奥の部屋に通された私は、光太郎とベッドの淵に座っていた。
促されるままにうがいをしたせいで、口の中が薬くさい。
「俺、光太郎。あんたは?」
「……カオリ」
「へーカオリか!本名?」
人懐こい彼の口調に徐々に絆される。
ここで首を横に振ることもできたんだけど、光太郎には嘘つく必要もない気がして、こくりと頷いた。
「かわいい名前じゃん!
まーでも、働くからには
源氏名つけないとなー」
今何が余ってたっけなー?
などと呟きながら唸る光太郎は、すぐに悩むのをやめたらしく、私に視線を戻して笑顔を見せる。
「ま、源氏名はオーナーに
任せることにして。俺らは
早速、研修はじめよっか!」
「はい。え、あの……研修って」
「ん? ああ、俺が客役な」
「へ!?」
んじゃやってみよー!
あっけらかんと言って、彼はスーツのベルトを緩めはじめた。