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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第4章 xxx 03.新規一名



 さあ、お仕事をはじめましょう。

 各部屋に設置された鉄製の簡易ラック。予備のタオルやらオプション用のおもちゃが置いてある影に、店のマニュアルが置いてあった。

 そのなかの営業トーク一覧を思い出しつつ、初めてのお客さんの前で軽く微笑んでみせる。

「今日は来てくださって嬉しいな。たくさん頑張るので、いっぱい気持ちよくなってくださいね」

「よっ、よろしく、お願いします」

 ベッドに腰掛けてかしこまる彼は、まったく視線を合わせようとしない。風俗は初めてなんだろうか。

『ご新規1名ね』

 さっきの光太郎の言葉を反芻する。

 新規ということは、簡単に言えば【指名】を獲得できるチャンスということだ。この爽やかな彼に気に入ってもらえれば、次来たときに指名してもらえて【指名料】が店に入る。

 そのうちの何%かは私のお給料になるので、新規の客を相手にするときは慎重に仕事をしなければならない。らしい。

「緊張、しちゃいますよね。
私もすごくドキドキしてる」

 そっと彼の隣に腰掛けて言うと、大きくてまん丸な瞳が、わずかに綻んだ気がした。

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