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(R18) Moulin Rouge (HQ)

第1章 xxx 00.雇用契約



「じゃあこれな、はいどうぞ」

 見知らぬ大都会のラブホテル。
 男が渡したのは、二万円だった。

 ひっきりなしに電車が走る線路の高架下。パチンコ屋のネオンの下でうずくまっていた私は、この男に買われたのだ。

「……どうも」

 だらしない笑みを携えている男から、皺の寄った一万円札をもぎとってそっぽを向いた。早く帰りたい。まあ、帰る場所なんてどこにもないけれど。

「無愛想だねェ。顔はかわいいのに」

 そう言ってタバコに火を付ける。派手な格好をした白髪の男は、細く煙を吐いて、私の頬を撫でた。


「なァお前、カオリだっけ?
俺んとこで働いてみねェか」


 男は言う。
 売りなんかやらなくてもよ、お前にゃもっといい稼ぎ方教えてやるよ。

「どうよ。やってみっか?」

 ほとんど有無を言わさぬその物言いに「……うん」と頷いてしまったことが、すべてのはじまりだった。
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