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先生にとって私はまだ生徒ですか?

第1章 中学2年生


みんなが帰った後、またいつものように質問していた。

智也「これもあってるやん!同じ意味やって。」

もはや笑い出しそうな先生。でも先生と絡みたいんだから仕方ないじゃん。先生が普段は使わない関西弁をどんどん出してくるのが面白い。

美奈実「はぁい。…じゃあ質問はもうないです。ありがとうございます。」

くるっと背を向けて片付けを始めようとすると、先生が慌てて教室のドアを閉めた。なにごと?

智也「さっき言ってたことなんやけど…。あの、クラス分けの話な。僕のクラスに残りたいって言ってくれるのは嬉しいんやけど、今回は上のクラスに行って。」
美奈実「…なんでですか?私、先生の授業好きなんです。丁寧で整理されてて…」
智也「ありがとう。…これはまだ塾側にも言ってないことやから、くれぐれも内密にして欲しいんやけど、大学の授業がちょうどこのクラスの時間に変更になったんよ。せやからこのクラス持てんの…。でしかもほかの曜日が全然空いてないから、僕多分このバイト辞める。」
美奈実「そうですか…。でも先生も私たちの先生である以前に一人の大学生ですものね。先生ご自身の勉強を差し置いて、私たちの面倒を見るというのは私も賛成できません。残念ですが、先生も勉強頑張ってください!私もそういうことでしたら上のクラスに行って、『諏訪本クラスの生徒はこんなに実力つけたんだっ』と見せつけてきます。」

笑顔で言えたと思う。すごく残念。良い先生見つけたと思ったのになぁ。

美奈実「先生…。一つだけわがまま言っても良いですか?」
智也「おう。何?」
美奈実「先生のメアド教えて貰えませんか?今後いろいろと相談したいことも出てくると思うのですが、先生がバイト辞められるなら連絡方法がなくて…」
智也「うーん…。本当は先生と生徒が私的な連絡手段を持っちゃあかんのやけど…僕も辞めるからな。わかった。良いよ。なんか書く紙ある?でも誰にも言ったらあかんで?辞めることも、メアドのことも。」
美奈実「あ、ここにお願いします。…それはもちろんです。先生にはご迷惑おかけしたくありませんし、信用してください。」

私のノートの最後のページに先生がメアドを記入している。良い先生はやっぱり手放したくないよね。
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