第3章 運命
聞きたいことがありすぎて。
頭が混乱する。
どこでそのハンカチを?
なんで私の名前を?
名前はなんていうの?
学年は?
どうして学校にいなかったの?
私の事どう思ってる?
運命って信じる?
メアド教えて?
…??
頭が真っ白になり放心状態になってしまった。
心臓のドキドキが止まらない。
そんな時。
「ありがとう、ところでどうして百合の名前を?」
桜ちゃんが察してくれたのか、私の代わりに聞いてくれた。
「あ…えっと…薊さんはうちの学校でも有名なんで…」
「なるほど、たしかに百合は有名だな」
私が有名?なんで?と聞きたかったが声が外に出ようとしなかった。
「んで、お前の名前は?」
「あ…っと、橘 椿…です。」
…椿。
素敵な名前だと思った。
「ん、椿。本当にありがとう、百合のヤツすげー困ってたんだ、な?」
「ふ、ふぁいっ」
やっと外に出た声は私のように震えていた。
間抜けな声が出て顔がかぁっと熱くなるのがわかる。
いや…声のせいだけではないのかもしれない。
改めて見たその整った顔は。
見惚れてしまうほど美しいものであった。
「百合、礼は言った方がいいんじゃねーの」
「ひ、ぁ……り…がとう…ございま…ふ…」
小さくて聞こえるか聞こえないかという微妙なラインだった。
けれどその小さな声は確かに、
――に、届いていた。