第7章 こんな状況でさえ、流れる涙が無い
――――外の景色が見たい。
何故だかそんな気になって地に足を付ければ、鈍っていた身体に感覚が戻ってくる。
私はゆっくりと足を進め、甲板に出た。
扉を開ければ一面銀世界。
私が寝込んでいる間に、次の島についていたようで。しかも予想通り冬島。私の身体はそれほど“冬”というものに敏感らしい。
「もう身体は大丈夫?」
すっかり聞きなれた声に振り向けば、ペンギンとシャチにベポ、そして三人の後ろには何故か不機嫌そうなトラファルガーが立っていた。
「まだ部屋にいろと言っただろうが」
「もう大丈夫よ。迷惑かけたわ」
「…チッ」
不機嫌の理由は私が甲板に出ている事らしい。
舌打ちされる覚えは無いけど、仮にも看病してもらった相手。それに私もまだ本調子ではないから、言い合いをする気力はまだ戻っていない。それは無視する事に決めた。