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【外科医】 キミ色に染まる  【完結】

第24章 キミ色に染まる



 長い、長い夢を見ていたようだ。


 一面雪が積もったような、真っ白な世界。

 目を凝らせば、点々と続く足跡がある。


 それに魅かれるように進めば、懐かしい後姿が見えた。




 おれと同じ、藍色の髪を靡かせた彼女は振り向く。

 そして口角を上げながら問う。


“私は、あなたの中に生き続けていましたか?”


 何を馬鹿げた事を、と思わず失笑してしまいそうになる。

 おれの中に生き続けたかって?

 そんなもの、聞くまでもないくせに。


 逆に聞いてやるよ。

 お前がおれの中からいなくなった日があるか?と。

 一分でも一秒でも、お前を忘れた瞬間などない。



 いつだって会いたいと願っていた。

 いつだってお前の事を考えていた。

 この俺の頭の中を占める女なんて他にはいない。


 自分勝手で気ままで狡猾で。

 そんな女に囚われるなんてな。

 だが、そんな女だからこそ、おれは惹かれたのかもしれない。

 触れるもの全ての色を、自分色に染めてしまうお前に。

 おれは染まりきってしまった。




 だが、それも悪くないな。

 お前の色に染まるのならば、喜んで身を投げ出してもいい。


 無機質だった世界を、鮮やかに彩ってくれたお前に。

 お前の色に、染まってやるよ。





 だから今度こそ。

 おれの隣で、見ていてくれ。



 今度は、お前の世界をおれ色に染めてやるから。







  【キミ色に染まる】




FIN





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