第14章 喪失
「回復したら一護の野郎に借りを返すぜ。あの野郎、さっき懺罪宮の辺りで朽木と接近したあと霊圧がはっきりしねぇ……どこかに行方を眩ましやがった。」
「朽木隊長が出られたんですか?」
「あぁ、お前が気を失ってる間にな。」
「今ねぇ、戦時特令が出てるんだよ。どこの隊長も動き出してるから。」
やちるさんがけろりと何でもない事のように言う。
戦時特令……旅禍の事件がほぼ全面戦争になっているの?
卯ノ花隊長の元に戻ったほうがいいだろうか?
朽木隊長が迎撃したのなら一緒にいた花太郎さんはどうしただろうか?
「少し移動しながら旅禍の動きを探るぞ。優姫、動けるか?」
「はい、大丈夫です。」
「無理すんなよ。やちると一緒に乗っかれよ。」
既に更木隊長の背中に掴まっているやちるさんがにっこり笑って横を指差している。
いいのかな……腰の鈍痛も辛いし甘えてしまおう……
広い背中に掴まると、触れている所が暖かくて安心する。
「行くぞ……」
さっきまで大怪我をしていたとは思えない速度で走っていく。
隊長クラスになるとこうも身体能力が違うんだ……
いつかこんな風になれるかな……