第11章 旅禍
罪人が捕らわれてから数日、穏やかな日が続いた。
朽木隊長も変わらず過ごされている。
あの日、肌を合わせた日からはまだ朽木隊長に会ってはいない。
無理をしてなければいいけれど……
四番隊で薬の調合をしていた優姫の耳に警戒令が鳴り響く。
『西方郛外区に歪面反応!三号から八号域に警戒令!』
隊舎から外へ出て西方を確認すると、空から隕石のような光の筋が飛び出し流魂街に激突したようだった。
地震のような地響きが鳴る。
何が起きたの?
何かが尸魂界に侵入してきた?
「旅禍ですね。」
後ろから静かな声が響く。
「卯ノ花隊長!!あの、どうすれば?」
非常事態にも卯ノ花隊長はいつも通り穏やかな顔で優姫を見る。
「西門の外へ落ちたようです。今は我々救護班が動くことはないでしょう。要請があるまでは待機してその時に備えてください。」
静かに伝えて卯ノ花隊長は隊舎に入った。
西門の外……
瀞霊廷を囲む壁にある四つの門にはそれぞれ門番がいる。
西門はそのなかでも最強の門番が守る。
破られることはないと思うけど……
卯ノ花隊長も待機と言っていた。
私が出来ることはないかもしれないけれど、状況を確認しておいて悪いことは無いはず。
四番隊舎を出た優姫は西へ向けて足を進めた。