第5章 戦闘好きな彼女――風間蒼也
ドンドンと俺の胸を叩いてくるが痛くも痒くもない
さすがに息が苦しくなってきたのか叩く力が強くなった
俺は渋々解放すると
『ちゃんと言ったでしょ!!なのに………!!』
「言えばキスしないとは誰も言ってないが……?」
『なっ…………!?さいってーー!バカ!』
「何とでも言え」
開き直った俺にぐぐ………と言い淀む朝霧の頭を撫でてやると嬉しそうに笑った
耳元に顔を近づけ
「可愛いな」
と言うと
『…うっさいっ!!!』
と赤くなった顔を隠しながら作戦室を出ていった
俺は朝霧を追いかけて隣に並ぶと朝霧の手を握った
『…………ずるい………風間…』
そう聞こえたが俺は聞こえないフリをして歩いた
「風間さん何か機嫌いいですね」
「そうか?」
「どうせ夏海さんとでも付き合うことになったんでしょ」
「そうなんですか!?」
見事に言い当てた菊地原に驚きを隠せないでいる俺にため息をついて言った
「まさか、気づいてないとでも思ってたんですか?風間さんは夏海さんとだけ話すとき表情が変わるんですよ。それに気づかないなんてよっぽどバカでないと」
「良かったですね!風間さん!」
俺はそんなに分かりやすかったのかと思いながらも素直に「ああ」と言った
そのあと来た三上にも何も言わなかったのに「おめでとうございます!」と言われたのは言うまでもない