第5章 戦闘好きな彼女――風間蒼也
結果は6-4
ギリギリの接戦だった
『あーもう!今日は勝てると思ったのに!!』
「惜しかったな」
『そう思うなら手加減してよ!
……いや、やっぱダメ!手加減しないで!』
「わかっている」
いまだにあー、と叫んでいる夏海を見ながらドリンクを飲んでいると迅がこっちに歩いてきた
だが、俺たち、いや、正確にいうと夏海をみてきびすを返し今来た道を帰ろうとした
………が、それは叶わなかった
『いいところに来るねー、迅』
ガシッと迅の肩を掴み逃がすまいとこちらにつれてくる
迅は冷や汗をかき必死に逃げようとしていた
「夏海さん。離してくれない?実力派エリートは忙しいからさ……」
『あんた、サイドエフェクトで見えてるでしょ?このあたしが逃がすわけないじゃない』
朝霧は恐怖とも取れる笑顔を迅に向けた
迅はさらに顔を青くする
最後は諦めたようにため息をつき体の力を抜いた
「風間さん……俺、可哀想にみえる?」
「実力派エリートにはみえない顔だな」
その言葉がよほど効いたのか迅はガクッと首を折った
『よっし!迅S級辞めたんでしょ?なら、さっさとランク戦やるよ!』
といって朝霧は迅を引きずっていった
二人が出てきたのはそれから少したってからだった
結果は6-4で朝霧が勝った
迅ははじめの五本は精神的にやられて動きが鈍っていたが後半は動きがよくなっていて、朝霧もやりにくそうにしていた
「やっぱり、負ける未来が見えてたんだよ……」
『次はー………』
落ち込む迅をよそに朝霧は次の標的を探し始めた
「朝霧少し休憩したらどうだ?」
『えー、うん。わかった』
そういって俺のとなりに座った朝霧をみてチャンスとばかりに迅が逃げていった
それを睨みながらも朝霧は追いかけることはなくおとなしく座っていた
『あー、暇だな』
「もう少ししたら米屋たちが来るだろう」
『ほんとだ!よし!ボッコボコにしよ!』
「授業もそれぐらい意気込んで受けれないのか?」
『ムリムリ。
風間がいるから我慢して大学にはいくようにしてるけど』