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ワールドトリガー【中・短編集】

第4章 本――当真勇


俺はあの場所にいくことにした
早めにご飯を食べ、目的の場所へ向かう
ベンチに座って目を閉じた

ザッ

足音が聞こえて目を開けるとあの女朝霧が立っていた
その顔はやはり美人だが、目を少し見開いて驚いていた
目を伏せると踵を返して帰っていこうとした

「待てよ。…………ここ、空いてるぜ」

俺は一人分空いてるそこを叩いて示した

『………』

朝霧は黙ってお辞儀をすると隣に座った

「………なあ、お前って何でここで本読んでんだ?………」

『…………!』

本から俺に視線を移したその顔はどうして知ってるの?と言っているようだった

「いや…教室からたまに見てたから」

『ここは落ち着くから。教室はうるさい』

喋らないときいていた俺は朝霧がまさか俺の問いに答えてくれるとは思わなかったため反応に遅れた

『当真くんは何故ここに?』

「!?何で俺の名前知ってんだ?」

朝霧はしまった、という顔をしたがすぐにもとに戻り

『実はボーダーに入ってるから。当真くんの噂も聞いてるし、見かけたこともあったから』

「お前ボーダーなのか!?」

『うん。でも他の人には言ってないから、あまり大きな声で言わないで』

「あ、わりぃ」

まさか朝霧もボーダーだとは思っていなかったため大きな声を出してしまった

『で、当真くんは何でここに?』

「簡単にいうとお前がどんな奴か知りたくなったからだな」

『ふーん……』

「ま、これからもちょいちょいここ来るからよろしく朝霧夏海」

俺は片手をあげて教室に戻った



残された夏海は顔がにやけるのをこらえるのに必死だった
確かに夏海が当真の名前を知っていたのはボーダーに入っているのもあるが、夏海は当真のことが気になっているから、という理由が最もである

長い足、いつもはダルそうにしていてもトリガーを持つと少し顔つきが変わるところ、天才的な才能、すべてに魅了された

この学校にいることは知っていたがまさか話せるとは思っていなかったため本当は今すぐ叫びたい


明日になるのが待ち遠しくて仕方がない夏海だった







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