第4章 本――当真勇
俺はある女に一目惚れをした
新学期になって間もない頃昼休みに教室から校庭を眺めているとその女は学校で一番大きい木の下のベンチで本を読んでいた
俺はしばらくそいつのことを見ていた
(アイツ……………何であんなところで本読んでんだ?)
予鈴がなるとその女は立ち上がって木に近寄り手を触れた
横顔しか見えないがその顔はかわいいというよりは美人というぐらい大人びた顔だった
(何だアイツ……変なやつだな)
そう思いながらも俺は目が離せなかった
女は木を見上げ微笑んだ
それに答えるようにそよ風が吹いた
(キレイだ……………)
俺は無意識にそう思った
その日から昼休みになると校庭を眺めるようになった
毎日ではないがあの女はあの場所に来て本を読む
そしていつも通り木に触れて帰っていく
「なあ、当真って最近外ばっか見てるけど何見てんだ?」
昼休み
クラスのやつが俺の向いてる方向に目を凝らす
「!あれって朝霧夏海じゃん」
「朝霧……?」
名前を聞き返したからかソイツはニヤニヤしてきた
そんなんじゃねー、というと面白くねーといいながらも説明してくれる
「アイツとは一年の時クラス一緒だったんだけどよ………。人と一緒にいるのが嫌なんだってよ。
行事とか人と協力しないといけないときは協力するけど、それ以外はしゃべろうともしない。喋りかけても頷くだけ。
もったいねーよなー!あんな美人なのに」
「………ふーん」
頬杖をつきながら外をみた
今日も女が本を読んでいた