第2章 管理人
ピンチ。
その時には察知してた。
絶対にわたし追い出される……。
予測通り日はだんだん過ぎて行って、ついにわたしに残された時間は一日。
わたしが出た行動は就職先を探すことじゃなくて、明日からの生きるための準備だった。
旅行カバンから小さなカバンまで荷物を詰め込む。
あの人なら本当にやりかねないし……。
必要なものを詰め込んで行っても入らないものはあるわけで、まだ時間もかかりそうだった。
床に散らばった衣類や、ベットの上の開きっぱなしの雑誌を見てため息を吐いた時だった。
『紗織、どうせ仕事探してないんでしょ?これ』
呆れ混じりのお母さんの手には、新聞の中に挟まっていそうなチラシがあった。
求人を求めた内容が見当たらなくてキョロキョロしていると、お母さんはその部分を指差す。
あ、こんな端っこの小さいやつ……気づかないわけだ。
お母さんこんなとこで何を見つけたんだ。
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