第4章 明かす罠は甘くて苦い果実
部屋に戻って行くたっつんの後ろ姿を見つめて、わたしはただ動けないでいた。
「少しは楽しめたし今回はこれで終わり」
机の中から出て来た神谷さんは、わたしに一度キスしてから颯爽と管理人室を出て行った。
「ご馳走様。また遊んでね」
そう言い残して。
【星寮のルール】
男性声優間での性的関係は性欲発散のためだけの物であり、性交渉を持ち最後まですることは禁止である。
風俗は声優への認知がない女性が勤める、指定の店だけ許可する。また料金は個人で支払うこと。
必要以上の女性との交友を禁止する。許されているのは電話とメールのみ、会うことが許されているのは仕事上で関わる女性のみ。
管理人は性交渉を持てる唯一の一般女性。
①絶対に恋愛感情を持たないこと。
②妊娠は絶対にさせないこと。支給されたコンドームの個数分しか一ヶ月に性交渉をしてはいけない。妊娠の恐れがない性的行為は制限がない。
③星寮以外の場所では性交渉してはいけない。
④以上の事は管理人側から要求があっても厳守しなくてはならない。
以上の事を星寮の住居人以外に口外してはならない。
ーーーこれが、紗織のまだ知らないこの声優だけのマンションの本当の意味。
一人の声優に対し支給されたコンドームは25個/1ヶ月。
紗織がこの事実を知るのは、すぐ夜の事だった。