第3章 それぞれの道
一つだけ救いだったのは、校内で全くと言っていいほど会わないこと。
これはほんとに助かった。
全てを忘れようと、今まで以上に部活に集中した。
それでも授業中にぼーっとしていると、いやでも思い出しちゃうから、嫌いな勉強にも打ち込んだ。
おかげで、定期テストの点数はあがったけど、気分はイマイチあがりきらなくて。
なにも知らない部員達が、蒼先輩の名前をだすだけで、苦しくなった。
3年生の集団を見る度に、蒼先輩いないかなって反射的に探しちゃって、いなくて残念な気持ちと、ほっとする気持ちがぐちゃぐちゃになって、自分が嫌になってくる。
いっそのこと、蒼先輩という存在自体を記憶から消せたらいいのに。そしたら、こんなに辛くないのに。