第3章 逆らいの条件
シホside
高校一年生の春。
私は二度目の引越しをした。
受験した学校があるのは宮城県。
戻ってきたんだ、生まれ育った宮城に。
匂いが懐かしい気がして気分が高揚する。
烏野高校。
そこが、新しく通う高校だ。
真新しいブレザーに身を通して、少しドキドキしている。
県外からの受験ってことで自分だけ少し特別……というか、孤立した存在に思えた。
入学式は先日終えて、入学したばかりの一年生や部活の勧誘やらで学校内はすごく賑わっていた。
職員室で入部届けを提出して、友達もいないから席に座ってジッとしていた。
烏野を受けた事は岩泉先輩に言ってあるけど、及川先輩には戻ってきたことさえ言ってない。
岩泉先輩とメールや電話をして好きになる一方、及川先輩を裏切っているのがわかってて怖くなったから。
いっそのこと、私のことを忘れて他の子とイキイキ楽しんでくれればなとさえ思ってる。
そう、こっちに来たことがバレたくない。
なのになんで私……バレー部のマネージャーになろうとしちゃってんだぁ…!
馬鹿なのかな私。
けど、どうしてもバレー部に関わりたかったし、マネージャーしか思いつかなかったもん……。
あっちでもマネージャーしてたし、私はバレーなしじゃ無理っぽい。
大会の時にでも仮病使って休めば……何とかな、る、かなぁ…?
って、ならないよね。