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【ハイキュー】大王様の奴隷〜命令H〜【R18】

第11章 朝の二人


内容を話せないだけじゃない。


岩泉先輩に最低なことをしてる私が、人に話して甘えるなんて許されることじゃない……。


お願い。優しくしないで。


睨み返すぐらいに必死に見つめ返す。


どうか私が影山に気にかけてもらっていいような傷つき方をしてないと伝わるように。


本当に、私が悪いの。


「……っ」


怒りのあらわになってた影山の顔が怯む。そして、少しずつ落ち着きを見せ始める。


「シホ……」


「……ごめんね。気持ちだけ、ありがとう」


そう言ったのはあくまで影山を納得させるため。


影山の顔が悔しそうに歪む。でもやっぱり、私なんかに影山の気を遣わせるわけにはいかない。


自分勝手だけど、わかってほしい。


「行くね。……本当にごめん」


部屋に戻ろうとして背を向けかけた時、それを止めるように手首をぎゅっと掴まれた。


影山……。


きっと誰にもその内容を聞かせないために。……影山は私の耳元に顔を近づけて言った。


烏野高校の体育館で再会した時を思い出す。


“俺、あんたに興味ないしバレー以外どうでもいい”


「俺、シホが最低なこと知ってる」


「……!」


「岩泉さんいるくせに俺に好きって言ったことも、そのくせすぐに俺のものになれないって言ったことも」


なんでコイツはいつも、私の逃げ道になる言葉をくれるの……?


「それでも言えないのかよ」


影山は私の耳から顔を離して、まっすぐ私を見つめ直す。


「お前がどんなに最低なヤツでも俺は受け入れる」


誰が来るかもわからない場所なのに、影山は優しくその大きなからだで私を包み込んだ。


「かげ、やま……」


「だから俺にしろ。辛い思いなんてさせねーから」


振りほどかなくちゃいけない。


わかってる、すぐに振りほどくよ……。


でも……


私の汚くて最低なところまで包み込もうとする影山は、あまりに大きくて優しかった。


「俺がお前を一番幸せにできる。そう言っただろ」


影山の言葉が耳だけじゃなくて、体にまで響くような感覚だった。
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