第9章 露天風呂
「シホに近づくんじゃねーよ!」
「及川さんこそ上から目線なことばっかり言って自過剰だとは思いませんか!」
「俺はシホに愛されてるんだよ!悔しかったら俺よりイケメンになれ!」
「それが自過剰なんです!顔ばっかの自信じゃそのうち見捨てられます!」
……はあ。
大人のエロスとはまたこの人に合わない表現だ。
いや正直言えばこの人にこそピッタリなんだけど、この人はそれ以外の幼稚な部分も兼ね備えているからなぁ。
これで高3だなんて。
影山も影山で普段日向と言い合う時よりも子供っぽく理屈とかじゃない思い浮かんだ事ばっかりを言う。
不可解な会話にさすがに烏野のメンバーも振り返った。
「「……⁉︎⁉︎」」
そりゃ驚くでしょうね。
青城側に抱きしめられてる私と、裸で取っ組み合う及川先輩と影山。
ただ見守る澤村先輩。
見たことはあるとしても、女の前で腰のタオル外すのだけはやめてください。
目が点状態のメンバーを最後に、目の前がシャットアウトされた。
「汚ねえモン見んな」
あったかい岩泉先輩の手に目を覆われ、優しい手のひらに任せるように体を後ろに預けた。
岩泉先輩大好き……。
そんな落ち着いた思いと真逆に、荒れ果てた二人からあっち側の人達は皆落ち着かないでいた。
結果オーライ。
幸せな露天風呂だった。
背中に触れる温かみが私を覆い、それからしばらく私は眠っていたのだった。