第9章 露天風呂
シホside
「温泉どうする?」
午後は二時間ほど迷惑をかけてしまったのにも関わらず、潔子さんは私に笑顔を向けた。
どこからそんな優しい心が…。
「夜ご飯まで時間あるので先に行きません?」
あれから、あのまま私は部屋に帰り潔子さんと合流した。
本当に申し訳ないと思ってる。
潔子さんはずっと課題をしながら待っていてくれたらしい。
私のせいで計画は大幅にずれて、できなくなってしまったこともあったし。
お風呂セットを用意している私に、潔子さんは文字通り天使の微笑みを向ける。
「気にしないで。シホちゃんが今年マネージャーに入ってくれなかったら、今頃一人だったから」
……潔子さん!
もう一生ついて行きます!
先輩は頼りになるな…とかとは違うけど、潔子さんが言うことは本当に信用できる。
真面目だし優しい人だってことをわかっているから、嘘じゃないってわかるもん。
浴衣も用意して部屋から出ると、ちょうど男子組も温泉に行くらしく鉢合わせした。
「シホ!大丈夫だったか?」
影山が私を見るなり不器用な心配した顔をして駆け寄ってきた。
あまりの勢いで腕を掴まれて、開いた目が閉じない。
……怖っ。
「う、うん。岩泉先輩が途中で解放してくれたから」