第7章 合宿は練習するもの?
「お疲れ様です」
「おう、そっちこそ。なかなか凄い武器揃ってるな烏野。まだまだだけどな」
確かにまだまだだし、音駒のバレーは完成されてるような硬い守りだった。
私がどうこうできる問題じゃないけど、まだまだって言われるとやっぱり悔しいな。
「次やる時はきっと勝ちますよ」
「言うね〜。じゃ、次会うまでに俺らに負けんなよ?」
「……次までですか?」
「IH。全国でやろうぜ、ゴミ捨て場の決戦」
黒尾さんは楽しみそうに笑った。
全国に行けるといい。
マネージャーだから、選手と同じ目線には立てなくて本気で行ける。そう言葉には出せなかった。
「私じゃなくて選手に言ってください」
そう言った私に、黒尾さんは見透かしたような目を向けて言った。
「お前を必要としてる奴がいんじゃねえのか?マネージャーも部員の一人、チームの一人だろ」
嫌味な顔をして腹黒い人かと思えば、優しそうな顔もするんだこの人。
「……」
けど選手相応の努力ができるかって言われたら自信は持てない。
だから、黙って頷くだけだった。
「……若いうちは悩んどけ。なんかあったら俺に連絡しろよ」
そう言って黒尾さんはメアドを教えてくれた。
……あれ、いつメアド交換するほどの仲に。
でも頼れるお兄さんみたいで少し嬉しかった。
「ありがとうございました」
「おう。じゃあな真白」
「また」
古き縁を持つ音駒高校と別れ、私達はGW合宿を終えた。