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Dye D? 3

第12章 逃げる






 雪は逃げていた




自分がいる場所は、住んでいる屋敷なのに

屋敷ではなかった





全て左右反対なのだ





その世界で

雪は黒いフードの者に追われていた





走っても走っても

その者は執拗に追って来てくるのだ






雪は必死に逃げ続けていた





そう大倉が助けに来てくれる事を信じて

時間を稼げば

必ず彼らが助けに来てくれると

信じていたのだ





雪は知っていたから

彼らは誰よりも負けず嫌いで

誰よりも頼りになる人たちだったから




必死で時間を稼いでいた





逃げている途中で雪は

客を案内する部屋に逃げ込んだ






その時に感じたのだ

窓の人の気配を

カーテンを広げると

窓の向こうに映っている

ミヨが驚いて見ていた





その時に雪は理解した

ここは鏡の中の世界だと






私だけがこの世界に入ってしまったのだ

あのフードに入れられたに違いない




このチャンスを逃したら

私の存在は知られないのかもしれない







そして

自分の事を心配している彼に

自分の事を伝えたかったのだ






だから二人に託したのだ

このチャンスを逃さないように



彼に彼らに託すために






自分は必ず逃げきろうと

覚悟を決めていた

子供の為に

もう、彼を悲しませない為に





雪は必死で逃げ続けたのだった



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