第46章 skirtred spring.
二人は連れ立って校舎を出た。
いつぞやの体育館裏まできて、あの時の様に段差に腰掛ける。
「久しぶり、だな」
「はい」
そのまま暫し沈黙が流れる。
「何から話しましょうか…」
彼女が口火を切る。
「お前、どこにいたんだ?」
岩泉が間髪入れずに問う。
「花の蕾の中で休んでいました…」
彼女が振り向き、二人は見つめ合う。
「眼が、紅いな」
彼女の瞳孔は昼にも関わらず全開しており、それも人では有り得ない程に紅い。
「完全に『成った』のです」
彼女はやはり日差しを嫌う様に目を伏せた。
「お前、吸血鬼の『お手付き』だったんだな。やっぱり」
「やっぱり?」
不思議そうに彼女は首をかしげる。
「前にお前ん家行った事あっただろ?」
「はい…」
はにかみながら彼女。
やることを散々やっていてもやはり恥ずかしいらしい。
「あの時気のせいかと思ったけど、お前の眼が紅かった」
岩泉の言葉に彼女は薄く笑む。
「私、前から『そう』だったんですね」