第42章 あなたと最後の口付けを。
「くにみくっ」
抱き締められて噛みつくようにキスされた。
「つむぎを誰にも渡したくない!」
そのまま国見くんは出ていく。
私もゆっくり出る。
及川先輩が黙って鍵を閉めた。
「最初はこんなんなると思わなかったよね」
及川先輩がポツリと云う。
「はい」
確かにそうだ。
私は怖かった。
バンパネラが怖かった。
血を与えるのも、体を弄ばれるのも。
みんなイヤで怖かった。
怖くて怖くてたまらなかった。
何でかな?
一一次に会った時は一一。
だから?
だから怖かった?
「むぎちゃん、帰んな」
及川先輩に云われて歩き出す。
私は知っている。
バンパネラの怖さを。
血を吸われる快楽を。
それに惹かれる感覚を。
だから怖がった。
忌避した。