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【HQ】バンパネラカンタービレ【R18】

第39章 放課後 Date.


田舎の夜は早い。
もう大分暗くなっている。

寒い風が素肌に触れて冷たい。
「あ、こっち」
不意に花巻先輩は曲がり角で立ち止まる。

「はい?」
「こっち」
花巻先輩が歩き出す。
私もついていった方が良いよね?
良いんだよね?

曲がっていく花巻先輩を追いかけて隣に並ぶ。
一体どこへ?

「何で泣いてたか聞いていい?」
花巻先輩に聞かれて高い位置にある彼の顔を見る。

特に笑うでもなく真顔だ。
「一緒に帰りませんか?と、岩泉先輩を誘ったのですが」
そう、誘ったんだけれど、ね。

でも『及川と帰るから』と、にべもなく断られたのだ。
じゃあ三人で、と食い下がったよ?
でもだめだって云われちゃった。

「でも、断られて…」
又、涙出てきた…。
熱い目頭をさっき借りたハンカチで押さえる。

「そ、か…」
云って花巻先輩は普通に歩いている。
優しくされたかったけど。
今優しくされたら甘えてしまうからこれ位の方が良いのかもしれない。

しばらくして涙も止まった。
泣いてても仕方ないしね。

「あ、ここ」
はい?
立ち止まれば鼻にほんわり良いにおいが届く。
肉の油と調味料のにおいかな?

私達はラーメン屋さんの前にいた。
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