第2章 薔薇の花嫁
腕をつかまれているから声をおさえられない。
「あはは、可愛い声」
及川先輩が笑う。
ねぇ、と水を向けられた岩泉先輩も何か頷いてるし?!
松川先輩はこっちをガン見してる。
その肩に腕を回して花巻先輩はニヤニヤ笑ってる。
…そしてやっぱりガン見…。
「見、みにゃいれくださぃぃ」
今絶対私は変な顔してる。
ね?と同意を求めたくて視線を向けた先の国見くんが、国見くんが一一うっすら頬を赤らめて『ぶいっ』とVサインをしてくる。
金田一くんは私の血をすするのに必死なのかこっちを見もしない。
「あーあ、金田一ガッツイてぇ、やっぱり美味しいんだね、キミ…♡」
及川先輩が私に手を伸ばしてきてアゴを指でツゥとなぞる。
何だかゾクゾクして体を揺らす。
「発情期のメスネコみたいで可愛いよ?」
そのまま猫にするみたいにアゴを撫でられ、血をすすられ、おかしくなりそうだ。
「ネコららいれすぅ」
「あはは、舌回ってないよ。うん、で、一年、そろそろやばいからやめようか」
ふらふらの私の腕にすがる二人を及川先輩が引き剥がしてくれた。