愛玩人形になるまで【DIABOLIK LOVERS】完結
第4章 そして愛玩人形へ
ユイは茫然と二人が去っていた場所を見つめていると、血の匂いにつられてアヤトとレイジがやってきた。
「よぉ、チチナシ」
「この血の匂いは……あなたではないようですね」
「えっと……」
ユイは先ほどの出来事を二人に説明する。
「へー。あいつらがやっとくっつくわけか」
アヤトがどうでもよさそうに言う。
「これでカナトも大人しくなれば良いですが」
レイジもさほど驚きはしなかった。
「カナト君とキャンディちゃんって、過去に何があったんですか?」
ユイは思いきって聞いてみた。
キャンディの母親は育児放棄だった。
もともと父親はおらず、ろくに母親からの愛も貰えず育ったキャンディは誰でも良いから愛して欲しいと思考が歪んでしまった。
そんなキャンディに目をつけたのは、母親から放任されて育ったがまだ可愛がられて育ったカナトだった。
「何してるんですか?」
ナイフを片手に自殺を図ろうとしていたキャンディの前にカナトが現れた。
「死んだって逃れられませんよ。それでも死にたいなら僕に殺させてください」
『あなたは、わたしを愛してくれる……?』
「……君が僕の言うことを聞くお利口さんであれば、叶えてあげないこともないです。良いよね、テディ?」
『お利口さんでも何でも良いから愛して、お願い……』
これをきっかけに二人は一緒にいるようになった。
「キャンディちゃんはこの家に住んでるけど、やっぱりお母さんは心配したりしないのかな……?」
「ああ、それなら大丈夫です。もう母親はこの世にいませんから」
「カナトが殺してたよな?」
「ええ。かなり酷い残骸を処理するのはとても大変でした」
二人は平然と話す。
「キャンディちゃんは何も思わなかったんですか!?」
「母親よりカナト依存なキャンディには、カナト以外どうでも良いからな」
「そ、そんな……」
ユイは顔を青ざめた。
「では、私はこれで失礼します」
レイジは去って行った。
「てか腹減った。チチナシ、お前の血吸わせろ」
「ええっ!?」