• テキストサイズ

青春あやまち論2【黒子のバスケ】

第20章 側にいたい




それに気づいたコタちゃんと永ちゃんは、「コイツは知ってる!」と思ったのか興味津々に征十郎に詰め寄る。


「赤司は見つけられたんだろ、黛さんのこと!どうだった、泣いてた!?」

「さぁ、どうだったかな」

「あ、何その顔!もしかして見たの!?泣き顔!?マジ!?」

「いや、あいつならムスッとしてたんじゃねぇか?」


さらにさらにと詰め寄る二人を征十郎はするりと避け、歩き出した。


「教室へ戻ろう。卒業式が終わったとはいえ、HRもあるだろう?」

「ちょ、待ってよ、赤司ー!」


何も答えない征十郎にコタちゃんは口を尖らせるが、征十郎は構わず歩いてゆく。

仕方ないので、私たちもその後に続いて歩き出した。


「なんつーか…ここまで姿を見ないと疑いたくなるよね」

「疑うって何を?」


頭の後ろで手を組みながら言うコタちゃんに、レオ姉が問いかける。


「あの人、本当にうちの高校にいたのかな?」

「はぁ?何言ってんのよ、あんた」

「ここまでくると、その線も有り得るな」


コタちゃんが眉間に皺を寄せて真剣な顔つきで言うと、レオ姉は心底呆れた顔で返した。

しかし、レオ姉の隣を歩く永ちゃんが腕組みしながら頷き、コタちゃんの考えに同調する。


「どういう線よ!あんたたち、本当もう何言ってるの!征ちゃんもなんか言ってやって!あの人ちゃんといたわよね!?」

「さてね」


レオ姉が凄い勢いで言った言葉に征十郎は短く答えた。

だが、その征十郎は肩を小さく震わせて笑っている。

征十郎がこんな笑い方するのは、洛山では初めてのこと。

/ 422ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp