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青春あやまち論2【黒子のバスケ】

第12章 本当にそうかしら



征十郎の意図はすぐに分かった。

彼も大ちゃんと同様、自らの意志でゾーンに入ったのだ。

それも、大ちゃん以上の力を発揮するほどに。


「…よし、これならば実戦も問題ないだろう」


フロアに倒れ込んだ五将の三人。

私は慌てて三人に駆け寄った。

彼らは息が上がっているのに、征十郎は汗一つかいていない。


「なっ…」

「マジ…かよ…」

「怪物すぎっしょ…赤司」


その光景に私は言葉を発することもできなかった。


「…だが、これは切り札と呼ぶべきものだ。切り札を出すということは、すなわち状況が洛山にとって危険であることを意味する。そして、もう一つ…これは忠告だ」


静かな、棘のある声で征十郎は続ける。


「この状態になるためにはトリガーが人それぞれあり、僕にとってのそれは、勝利を人を動かすことによってではなく自分が動くことによって必ずもぎ取る、という意味だ」


征十郎はゆっくりと振り返り、冷たい目で彼らを見下ろした。


「つまり、僕が己の力のみで戦うと決めた時、お前たちに失望し、見限った時だ」


その瞳のあまりの冷たさに、誰も声をあげることはできなかった。


「さあ、明後日からは僕たちも試合だ。早く帰って休め。華澄は彼らのケアを頼む」

「え…ええ。わかったわ」


そう言うと、征十郎は体育館を去っていった。

その場に残された私たちは、何も言葉を発することはできず、ただ思いつめた表情をしていた。



「(私は…)」


本当にこの怪物を、元に戻せるの…?

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