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トリッパーを退治する話

第26章 独占欲と逃亡



翌日の学校は、朝から龍輝は榊原にずっと話しかけられて、ローたちとそばにいることが叶わなかった。
猛アピールしてくる榊原に、苦笑を浮かべ、ローたちは榊原に冷たい視線。
青峰たちからは龍輝に対して、睨み。

漸く解放された時は、校内放送で職員室へ呼ばれた時だった。
ただ、職員室へ行くだけなので、ローたちとは別々に行動し、龍輝は無事に職員室へと到着したのだった。



「ハンコック?
どうした?」

「おい、黒子。
ボア先生に対して、何て口の利き方を…!!!」

「うるせ…」

「教師に向かって何だ、その口の利き方は!!!
だいたいお前が来てー」

「うるさいのぅ」

「ほら、ボア先生もおっしゃー」

「お前のことじゃ。
妾の大事な龍輝になんという口の利き方。
邪魔じゃ、退け」

「はい!」


目がハートになった、男教師を無視して、ハンコックは龍輝の背中にそっと手を回して、教室を後にした。
龍輝は心配そうに彼女を見つめたのだが、その視線に気づいたハンコックは優しそうな笑みを浮かべた。



「妾の心配か?」

「そりゃもちろん…」

「可愛いやつじゃ」



背中に回していた手を、頭へと伸ばし、自分の方へと抱き寄せた。
肩へ顔を寄せさせ、優しそうに髪の毛を撫でながらその場に立ち止まった。



「浩也は優しい。
だけどのぅ、自分をもっと大事にしてほしいと思っておる」

「俺は優しくないけど…」

「優しいに決まっておる。
だからみんなに愛されておるというのを再認識してもらえたら嬉しいのぅ」



優しく頭を撫でてくれるハンコックに、龍輝は思わず、彼女へ寄りかかった。
クスクスと笑みを浮かべるハンコックに嫌な気も起こらず、ただ頭を撫でられていることに気持ち良さを感じていた。






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