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トリッパーを退治する話

第22章 実は…



放課後には、元気を取り戻した龍輝は思う存分バスケを楽しんだ。
双子の兄から借りたジャージは大きくて、動きは制限されていたが。
それでも楽しいバスケは彼女の動きを最大限に発揮させていた。



「サンジ君、どうしたの?」



体育館へ移動する前から、サンジが黙ったままでいるのに、ナミは気づいていた。
いつもの彼なら、見ていてくれたことに喜びを表現しているだろうが、彼の視線はずっと龍輝を見つめているだけだった。



「俺の思い過ごしかもしれませんが。
前だと絶対になかったことなので…」

「思い過ごし?」

「あのラブレターの中に、龍輝を呼び出すものがあったと思うんです。
放課後屋上に来いとか、校舎裏とか」

「あったとしても、あの子なら行くわ。
でも今はこうやって双子の弟君たちとバスケを楽しんでるから、思い過ごしじゃないかしら?」

「…だといいんですが…」



心配そうに、見つめる先には満面な笑みを浮かべバスケを楽しむ、自分たちの大事な本当の姫。
いつでも無邪気な彼女は彼らの船長にそっくりで、彼ほどわんぱくではないが心配する。
前世のときだって、この世だって、変わりはなかった。



「トラ男君には、伝えてあるんだけど
あのラブレターは、本当にラブレターだったわ」

「え?」

「みんなが心配そうに見ていたから、盗んで見たわ。
全部!ラブレター。
あの子10枚なんて言ってたけど、100枚近かったわ!
逆に下駄箱から落とさなかった方がすごいと思ったわ…」



頭を抱えながら言うナミに、サンジは苦笑を浮かべた。
心配はいらなかったみたいだ。
彼女が戸惑いを少しだけ露わにしていたのは、ただ単にラブレターの数が多かっただけ。
男装している自分が、男より多くラブレターをもらってることが他の男子に申し訳がなかったのだろう。



「全部確認したんですか?」

「えぇ、ビビに手伝ってもらって。
あ、もちろんロビンもよ?
ロビンの部屋を借りたから」



ロビンは、社会の先生として2年D組の教壇に立っている。
わかりやすい授業内容に、赤司が興味を示していたのは昨日の出来事だ。





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