• テキストサイズ

トリッパーを退治する話

第21章 ラブレター



龍輝が目を覚まし、自分で立ち上がれるようになったのはお昼頃だった。
すでにお昼休憩に入っていたため、いつも通り屋上へと向かっていた。

すべての視線が突き刺さり、屋上に着く頃にはすぐに床に寝転がるほどきついものだった。



「なんなの?
視線が昨日よりも強いわよ?」

「あの女が何か言ったんじゃねェのか?」

「浩也君は、私の好きな人。
とかか?」

「ありえるな」



頭上で繰り広げられている会話に、龍輝は苦笑しか浮かばなかった。
思ったよりも、愛は浩也にゾッコンらしい。



「でも、ラブレター送る勇気ある人もいるのも確かなんだよなー…」

「はぁ!?」

「ラブレター?」

「ラブレターだと?」

「だから、靴箱で立ち止まってたんですね…」



テツの納得した言葉に次々と、反応を示していった。
新校舎から戻ってきた際に、靴箱を通ってきたのだが。
龍輝の動きが止まっていたのだ。
あの時に靴箱に入っていたのだろう。



「さすが、龍輝さん…
ちなみに1枚だけだったんですか?」

「ううん。
10枚かなー?
全部好きって伝えたいってことと、榊原には黙っててって書いてあったなー」

「見せろ」

「は?」

「それか渡せ。」

「ローと征十郎が言ってる意味がわからない。
渡す理由ないでしょ」



争い始めた龍輝と、ロー、赤司の3人に見ていたテツたちは苦笑とため息をついていた。
榊原に黙っていて。
それでも龍輝へと向けるラブレターを出すのは勇気が必要だったと思う。
榊原に見つからないように
それは榊原の信者にも見つからないようにするという意味も込めて。
見つかったら最後。
この学校から出なければならないだろう。






「本当にラブレターだけだろうか」




サンジの呟きは誰かが拾うことなく、そのまま消え去っていってしまった。





/ 70ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp