第19章 恐怖
「テツヤ、嘘はいらねー。
龍輝のこと怖くなったな」
部屋に残ったのは、眠っている龍輝にテツと赤司、ルフィと睨みを込めた視線でテツを見るローの5人だった。
ずっとローとルフィから視線を感じていた。
疑い深く見てくるその視線は、気味が悪くて、でもその原因は己にあることだけはわかっていた。
「…龍輝が怖くなったわけではないです。
龍輝が死にそうになったのを見て、怖くなったんです。
年老いて死ぬわけでも、病気で死ぬわけでもない、確かに事故が原因ではありましたが、それでも知らない力によって死んでしまいそうに見えて、怖かった。
恐ろしかった」
「おれな、テツヤ。
龍輝が怖かった時が一度会ったんだ」
「え?」
「今では仲がいいけど、前世だっけ?
初めて会った時、殺されかけた。
おれはゴム人間だから、雷には強いけど、水はダメ。
ヤられるって思ったから、怖かったなぁー
でもその後、話聞いて、こいついいやつ!
ってなったから仲間に誘ったんだけどな」
しししと満面な笑みを浮かべるルフィに、ローは深いため息を吐き、赤司は苦笑を、テツは視線を背けなかった。
「だからテツはすげーなって。
おれ龍輝が怖いって言ったら、龍輝を強引に連れて帰ってた。
お前のために転校してきて、男装して、復讐しようとしてるのにって。
でも全て受け入れて、そして龍輝を心配する前世で会ってたら仲間に誘ってたなー」
「今は仲間になれませんが、友達ではダメですか?
ルフィ君たちの間に入れて欲しいわけではないですが…」
「というか、おれたちすでに友達だろ?
だからもっと仲良くなればいいんだよ!」
納得といった感じに呟いたルフィは、それからはずっとテツに対して質問を繰り返していた。
前世の話も入り混じりながら話していた内容は、壮大で知らない龍輝を知るきっかけにもなっていて。
黄瀬と同じ属性と思っていたのだが、ルフィはやはり船長という大きな責任も持つ場所にいたからこそ、赤司とまではいかないが、彼に似たような雰囲気を感じたのは確かなことだった。