第15章 こちらを見続けるのは…
学校に到着すると、マルコは迷うことなく新しく出来た校舎へと向かっていた。
赤司とテツにとって、真新しい校舎がいつの間に出来たのかが、不思議でしょうがなかった。
それと同時に感じる視線。
後ろへ向こうと体を捻る前に、テツの隣にルフィが立っていた。
「こっち見てんの、黄色の髪色のやつ」
「え?」
「気になるんだろうな。
ずっとこっち見てる。
テツ、お前は見るなよ。
前を向いて歩け」
ルフィから教えてもらった人物は、黄色の髪。
となると、浮かぶ人物は一人しかいない。
振り返りそうになったのを堪え、みんなに続いて校舎の中へと入っていった。
「黄瀬、どうかしたか?」
「いや、別に何もないッスよー
ちょっと髪型が変な人が通って行って呆気にとられた所ッス」
「変な髪型だぁ?」
「もういないッスけど
パイナップルだったッス」
「えー
そんな髪型、この学校いないしー」
「だからいたッスよー!
…愛姫っち?
どうかしたッスか?」
「あー浩也君が遅いなーって…」
黄瀬の目に映ったのは、マルコたちだった。
だが、彼が特定したのは先導していたマルコのみ。
彼らが急いでいるのは浩也のことだからと、ローに抱えられて入っていくのを知ってるから、あえて秘密にしていた。
「確かにそうだな。
担任の先生も来ていないのだよ」
「うーん。
まぁ、後から来るんじゃないー?」
後数分で始まるというのに、姿を見せない人物たちに、どうでも良さそうな返事を送りながら愛と話し始めるチームメイトたちを横目に黄瀬はずっとローたちが入っていった校舎を眺め続けていた。