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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《3》

第9章 病院




「名前」


「はい」


「手でも、繋がないか」


「…うん。いいよ」



そっと手を重ね、ギュッと指を絡ませて手をつなぎながら帰路を歩いていると何となく顔が熱くなってきて、目線を下に向けたり横に向けたりしていた

すると征十郎が「そう言えば」と言って話を始めたため「はいぃ!!」と全力で返事をしてしまい、まあ綺麗な笑みで笑われた




「黄瀬が頑張ったら頬にキスをしてくれるというのに、オレには何もないのかい?」


「デジャヴかわからないけどこんなような会話テツヤの誕生会の後にもした気がするな?」


「ケーキの話だろう?それもちゃんと覚えている」


「…征十郎って意外と負けず嫌いだよね」


「そりゃあ何事も1番が良いと教えられたからね」



そう言いながら彼は足を止めあたしを見て笑って、「オレにはないのかい?」ともう1度訪ねてきた

それにどう対処しようか迷っていると、彼は前を向いて再び歩き出した




「まあオレよりも僕の方が活躍していたしな…無くても仕方ないが」


「いやいやいや両方征十郎でしょ!?」


「じゃあ、してくれるのか?」


「ぐ…」



本当敵に回したくないタイプだ。と思いながら立ち止まって「征十郎」と彼の名を呼んだ

そしてこっちを向いた事を確認し、頭をグイッと寄せて、唇を重ねた




「…オツカレサマ。頑張ったね」


「随分と片言なんだね」


「だ、だって」


「大丈夫。礼を言うよ」



そう笑った征十郎の頬は赤くなっていて、彼も照れているのだと考えてあたしの頬が尚熱くなるのを感じた

そしてそのままほぼ無言で家に着くと、征十郎はそっとあたしの頭を撫でて「また明日、楽しみにしているよ」と言って笑った




「…また明日」


「ああ」



そう会話を交わして家に入ると、何となく空いた右手が名残惜しくてギュッと手を握り締めて玄関で縮こまった

本当、敵に回したくない





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