第9章 雨ときどき雹
小さな歯車たちがカチリと嵌まった音が、確かにこのとき聞こえた。
それは不幸の始まりの音か。
それとも幸せを見つけるための音か。
それは生きてみないと分からない。
ただこのとき、少年を化身として従える青年の心の中に小さなヒビが入り、後にこの世を変える一人の男がその傷を癒した。
それは青年にとってハジマリの音だった。
選択し、決断し、生きるための道を模索する。
復讐と言う道が彼の目の前に広がり、一歩を踏みだした。
「次は、どうする。」
長髪の黒髪の男が眉を寄せながら問う。
確認ともとれるこの行動に、青年は感心を寄せながら小さく頷いた。
「……兎に角、赤根崎は一度諦める。」
でも、と青年は続けた。
「回りから、さらにアイツの協力者から制裁を加えていこう。」
空が紅く染まっていく。
息を呑むように美しく、思わず足を止めてしまう荘厳さ。
しかし照らされた人々が幸せであるとは
__________限らなかった。