第2章 笑顔はきっと涙の後で
「20区を……そうか
……手伝うことはないかい?」
そんなふうに言ったつもりは全然なくて
私は目を見開いた。
「そんな!全然いいですよ!
月山さんに手伝わせるなんて!」
「そうかい?ならば何かあったら、
言ってくれていいからね」
そう言って私の方に手を伸ばした
「月山、さん?」
私がそっと呼ぶとその手は止まり、
缶コーヒーのもとにいった。
「…さて、そろそろ僕は帰るよ
紗那は?」
「え?」
「帰るなら、そこまで一緒に」
「いいんですか!?」
身を乗り出して言うと
彼はふっと笑って
じゃないと言わないさ。と立ち上がった。