第1章 昨日の昼休みの出来事
―――昨日の昼休み―――
今日、杏から、弁当を屋上で一緒に食べないか、とメールがきた。
授業が終わると、すぐに席を立つ。もちろん屋上に行くためだ。
屋上のドアの前まで来ると、なにやら男女の声が聞こえてきた。
俺には関係ないので、ドアを開けようとしたが―――
「・・・杏?」
聞こえていた女の声が杏だと分かった。
杏が男と話すのは珍しいので、気になってドアを開けるのをやめた。
すると、こんな会話が聞こえてきた。
「――――――――付き合ってください」
「うん、いいよ」
・・・は?いいよ・・だと?
え?杏ちゃんには俺がいるよね?
「じゃあ、また後で」
「うん、バイバイ」
やっべ!
俺はとっさに隠れた。
おいおい、杏は他の男の告白をオッケーしたのか?
い、いや、杏には俺がいる。好きなのは俺のはず・・・。
そう自分に言い聞かせた。
せっかく杏から誘ってくれたが、昼食は一人で食べることにした。