第6章 【氷室】5年越しのI love you.
小学校を卒業してから、中学にあがるまでの長期休みに、悠紀は父親と母親が離婚して、日本に行ってしまっていた。
母親の故郷が東北の方だとかで、悠紀はそこの中学に通うらしい。
中学にあがってから初めてそれを知ったオレは絶望した。
…オレは悠紀のことが好きだったからだ。
何も伝えないまま、悠紀はいなくなってしまった。
もっと早く言えばよかったと、後悔してももう遅い。
それを追うようにして、タイガへの劣等感が芽生え始めた。
タイガよりも先に始めて、オレの方がバスケを好きなのに。
どんなに努力しても埋まらない『才能』の差を感じ初めていた。
今はまだいいかもしれない。でも、もうあと1年もしたらどうだ?
言葉に出来ない恐ろしさに、オレは時々押しつぶされそうになった。