第2章 002...大きな子供
スマホと繋がるイヤフォンからは、遠くでシャワーの水音がしている。
(ぎりぎり、間に合うかな。)
時計はもう23時20分。
本来なら土日休みの彼だが、このところ仕事が忙しいらしく
付き合ってから土曜に休んでいるのを見た記憶がない。
(疲れてるのに、バーは開くんだもんなぁ…。)
思わず苦笑いをしながら、恭弥が戻ってくるのを待つ。
するとまた再びバタバタと騒がしい気配と、
冷蔵庫を開け閉めする音。
(…ビール飲むんだ。契約、獲ってきたんだなぁ。)
言われなくても、気配で察することができるようになった。
それは些細なこととは言えど、
遠距離のさとみにとっては、ちょっとした自慢でもある。